目次
失語とは?
失語とは、脳の損傷が原因で、読む・書く・話す・聞くなどの言語機能が失われた状態。
失語症の分類
失語症で代表的なものには以下のものがあります
- 運動性失語(Broca失語)
- 感覚性失語(Wernicke失語)
- 超皮質性運動失語
- 超皮質性感覚失語
- 混合型超皮質性失語
- 皮質下運動失語
- 皮質下感覚失語
- 全失語
- 健忘失語
- 伝導失語
これら失語症は、流暢さ・言語理解・復唱の可否によって以下のように分類されます。
CBTで大事なのはBroca失語とWernicke失語
CBTレベルではBroca失語とWernicke失語の見分け方が重要です。(国試受験生では当たり前のようにできますよね。。。)
Broca失語とWernicke失語の見分け方
【ポイント】
Broca失語ではINが可能でOUTが不可能
Wernicke失語ではINが不可能でOUTが可能
すなわち、Broca失語では IN=言語理解 は可能です。しかし、OUT=発話 ができません。
Wernicke失語では OUT=発話 は可能です。しかし、 IN=言語理解 ができません。
それゆえに、Broca失語は運動性失語(発話できない)、Wernicke失語は感覚性失語(理解ができない)と呼ばれます。
ちなみに、下の方で説明しますが、どちらも復唱も障害されます。
医師国家試験では伝導性失語・超皮質性失語・健忘性失語の理解も大切
伝導性失語・超皮質性失語・健忘性失語を理解するには、Wernicke-Lichthwim図(ウェルニッケリヒトハイム図)と言うものがわかりやすいです。
※病気がみえる7脳・神経 MEDICMEDIA より引用
下の画像のみでは説明が足りないので、病みえから上の画像をもってきました。
聴覚入力から発語出力までこのような経路を辿ります。
概念中枢を通る上のルートが普通のルートであり、復唱するときはWernicke中枢とBroca中枢を直接つなぐルートを通ります。
入力→Wernicke中枢→概念中枢 のルートが言語理解
概念中枢→Broca中枢→出力 のルートが発語
入力→Wernicke中枢→Broca中枢→出力 のルートが復唱
に関わります。
それぞれどのルートが障害されるかによって名前がついています。
伝導性失語は復唱のみの障害
復唱はBroca中枢・Wernicke中枢も通るため、Broca失語やWernicke失語でも復唱障害は生じますが、
伝導性失語は復唱のみ障害されます。すなわち、発話と言語理解は保たれます。
「えんぴつと復唱させる→えんぺつ」のようになってしまいます。
これは、Wernicke中枢とBroca中枢の間の障害によるものです。
ちなみにこの二つを繋いでいるのは大脳白質連合線維だそう・・・。卒業試験にでました。アーメン
超皮質性質語では復唱が保たれる
超皮質性失語は、超皮質性感覚性失語・超皮質性運動性失語・混合性超皮質性失語に分類されます。
超皮質性感覚性失語では、Wernicke中枢→概念中枢
超皮質性運動性失語では、概念中枢→Broca中枢
混合性では両方共が障害されます。
それぞれ、発話、言語理解など障害されますが、大切なポイントは
復唱は保たれる
ことです。
健忘性失語症は復唱・流暢さ・言語理解すべて保たれる
では、なにが障害されるのかというと、
呼称や語想起のみが障害されます。
すなわち、適切な言葉を思い出したり品物の名前を言ったりすることが障害されますが、出ない言葉を他の表現で言い換えたりするのは可能です。私達でも物の名前を忘れた時に言う感じと同じです。
「富士山」が思い浮かばず、「ほら、あの日本一高い山」
というような感じです。
例題:医師国家試験107E65
107E65
初診から1年後の診察では次のような会話が交わされた。
医師「今日はどうやって来ましたか」
患者「妻と一緒にA駅から電車で来ました。B駅で降りてそこからは歩いてきました」(妻がうなずく)
医師「次の言葉を繰り返して言って下さい。沖の方を客船と白い帆のヨットが走っています」
患者「沖の方を(考えるようにして)船と(考えるようにして)ヨットが通っています」
医師(白紙と鉛筆とキーホルダーを患者の前の
テーブル上に置いて)「私の言う通りにして下さい。キーホルダーと鉛筆を入れ替えて、紙を裏返して下さい」
患者(キーホルダーと鉛筆を入れ替えて、紙を裏返す。)
医師(鉛筆を示して)「これは何ですか」
患者「えんぺつ」
医師「学校はどういうところですか」
患者「勉強するところです」
この患者で認められるのはどれか。a運動失語
b感覚失語
c伝導失語
d構音障害
e語健忘
もう簡単ですね。言語理解は保たれ、発話は流暢であるが復唱のみ障害されているので
正解はCの伝導失語になります。